「消息」

近衛信尹

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作家名
近衛信尹
作品名
「消息」
寸 法
本紙:34.4×50.6 cm
総丈:122.8×52.7 cm
手 法
紙・墨
制作年
六月二十二日
備 考
・主膳正(しゅぜんのかみ)…近江出身の大名片桐貞隆(1560–1627)。豊臣秀吉・秀頼に仕えた。大和小泉藩主片桐家初代。
・玄朔…曲直瀬玄朔(まなせげんさく、1549–1632)。伯父の曲直瀬正盛(初代道三)に学び後に2代道三を襲名した医者。豊臣秀次らの診療に当たった。
・ 照高院…道澄(1544–1608)。近衛稙家(たねいえ)の子で信尹の伯父。秀吉に信任され方広寺住持となる。後に照高院を開基した。
解 説
【読み】
重而瓜三籠
誠懇情之
儀候主膳正事
昨日玄朔誰
談にて驚入候
即差越飛札候
事候已来者
諸侍自身火
事を手にかけられ候
事なにとそ候て
□やうかハり候やうに
被申付候へかし
不謂捨身之
行と相聞候間
乍次如此候又
照高院之煩□
存許薬一段相
当之躰候道三
上洛と推量にて
寺中之者うれしかり候
我〻も大略ハ大仏ニ
在之躰候かしく
六 廿二日 (花押)

(返し書き)
猶〻くさきもの
身しらすと哉らんの
やうに火事に付て
おかしき文言にて候
へとも今は其方之事
人之おち候事
以外之折節に候間
物をしらせ候事も
みな〳〵用捨候事も
可有之候
火事なとにハ諸侍之不慮
無之やうノ法度之様子
なにとそ思案尤ニ候歟
書状火中

【現代語訳】
重ねて瓜三籠、ご丁寧にありがとう。主膳正(片桐貞隆)のこと、昨日曲直瀬元朔から聞いて驚きました。すぐに、飛札を出しました。以来は諸侍が自分の手で火事を消そうとするのは□□申しつけられますように。いわゆる捨て身の行のようなものですので、ついでながら申し上げました。照高院(道澄=信尹叔父)の病気は知っていましたが、薬が効いた由、道三が上洛するだろうと推量しており、寺中の者はうれしがっています。私もだいたいは大仏(方広寺)に居ます。
なお、「臭い匂いは、自分では気づかない」とかいうように、火事について、おかしい言い方だと思いますけれども、今はそちらは、人が落ちたことは以ての外の時期ですから、ものを知らせることもみんながせずにいることもあるでしょう。火事などには諸侍が不慮のことがないようにとの法度の事情は何とぞよくお考え下さいますように。この手紙は火にくべて下さい。

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